- ちょっとだけ
- 瀧村有子 作
- 鈴木永子 絵
- 福音館書店 発行
- 対象年齢:3才から
私は二児の母です。
下の子の妊娠がわかり、出産に至るまで、上の子にどのように話して受け入れてもらうかを考え、楽しみはもちろんのこと、ちょっと我慢したり、がんばってもらうことがあることも正直に伝えていました。
出産してからも下の子のお世話にかかりきりになってしまわないように、上の子優先にできることはするようにしてきました。
大好きなこともたくさん伝えて。
それでもやっぱり、ものすごく我慢させてしまっているなと心に病む場面が多々あり、二人育児の難しさを痛感していた時に、産院のベビーマッサージの教室で、助産師さんが読んで下さった一冊の絵本。
今回はこちらの絵本をご紹介致します。
内容
なっちゃんのおうちにあかちゃんが産まれました。
なっちゃんは3歳くらいかな。
まだまだお母さんに甘えたい年齢。
いつもお母さんとつないでいた手はちょっとさみしそう…。
お姉ちゃんになったなっちゃんは、お母さんがあかちゃんのお世話で忙しいので、今までお母さんにやってもらっていたことや一緒にやっていたことを一人でチャレンジしようとします。
がんばるなっちゃんの姿がとても健気です。
牛乳を少しこぼしてしまい、思わず怒ってしまいそうな場面も。
こうして客観的に見ると、日々の自分の言動を反省してしまいます。
子供の行動や言動の本当の意図に気付いてあげなくてはいけませんね。
なっちゃんはちょっとずつ色々なことが一人でできるようになりました。
お友達親子に会い、「あかちゃんかわいいでしょう?」と聞かれ、素直に答えられないなっちゃん。
上手く言葉にできない感情。
大人でもありますが、このくらいの年齢の子には感情を言葉で表現するのはとてもとても難しいことだと思います。
眠いときだけはどうしてもだっこをしてもらいたい、なっちゃん。
遠慮がちに「ちょっとだけ」と聞く姿に、心がきゅーっとなります。
そこでのお母さんの言葉が素敵。
「いっぱいだっこしたいんですけど、いいですか?」
思わず笑顔になるなっちゃん。
お姉ちゃんになったことで、戸惑いを乗り越え、自信がついていく過程を見ることができます。
最後の、あかちゃんに微笑むなっちゃんの姿にも心が打たれます。
感想
産院で読んで下さった助産師さんがたまたま出産時にお世話になった助産師さんだったことと、その助産師さん自身3人のお子さんのお母さんで、そのお話も以前から伺っていたので、とても印象深く、心に響いたことをよく覚えています。
上の子にはその時ではなく、だいぶ後になって、下の子ができることがどんどん増えて、さらに手が掛かるようになってきた時に、また手に取る機会があったので、読んであげました。
だいぶ物語への理解力もついてきた頃だったので、なっちゃんのがんばる姿には神妙な面持ちで聞いていました。
なっちゃんのママの「たくさんだっこしたいんですけど、いいですか?」には思わずのけ反り、その後はにっこり笑顔。
読んだ後は二人でぎゅーっとだっこ。
成長するにつれ、いつまでこんなふうに求めてくれるかな、だっこさせてくれるかなと最近ではふと思うことも出てきました。
忙しさに追われる日々ですが、我が子の訴えにきちんと耳を傾け、今のうちにたくさんたくさん甘えさせてあげたいなと思える絵本です。
心に余裕がない時こそ読みたい、一旦立ち止まって改めて大事なことに気づかせられるこの絵本。
自信を奪ってしまうような言い方になっていないかなと日々を振り返ることもできる絵本です。
これからも大切にしていきたいと思います。