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絵本「だるまちゃんとてんぐちゃん」

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  • だるまちゃんとてんぐちゃん
  • 加古里子 作/絵
  • 福音館書店 発行
  • 対象年齢:3才から

私が小さい頃は、かわいいキャラクターのだるま落としのおもちゃではなく、元祖だるま落としのおもちゃがありましたし、飾り物としてもよく目にする機会がありました。

天狗は、おかあさんといっしょのだいすけお兄さん世代の上の子は、「数え天狗」で多少耳にしたことがあるもの、あまりよく知りません。

1967年に出版されたとあり、きっと当時はもっと身近な印象だったのだと思います。

今の子にとって、だるまも天狗もあまり馴染みのないものに思い、あえて古風な登場人物の絵本を読んであげたくて手に取った絵本です。

読んでみると内容もおもしろく、親子でお気に入りの絵本なので、ご紹介したいと思います。

内容

子供のだるまちゃんとてんぐちゃん。

だるまちゃんは、てんぐちゃんの持っているうちわが欲しくなり、家に帰って、お父さんのだるまどんに相談します。

すると、だるまどんが色々な形のうちわをたくさん出してくれました。

しかし、だるまちゃんは納得しません。

するとだるまちゃんは思いつき、あるものをうちわの代わりにすることにします。

それを見たてんぐちゃんも、「いいものみつけたね。」とうれしくなりました。

しかし、だるまちゃんは次はてんぐちゃんの帽子がうらやましくなります。

また、だるまどんが色々な帽子をたくさん出してくれるのですが、納得しないだるまちゃん。

今度は別のものを代わりにすることに。

てんぐちゃんもにこにこ。

今度は、てんぐちゃんの履き物がうらやましくなり。。

最後はてんぐちゃんの鼻。

またまただるまどんが用意してくれるのですが、だるまどんの勘違いによってだるまちゃんは怒ってしまいます。

だるまどんもこれには降参かと思いきや。。

家族総出でだるまちゃんの希望を叶えようとする様子がなんとも微笑ましいお話です。

感想

淡々と繰り返し、特にオチはないのですが、子供にとってはその繰り返しがおもしろく、絵をじっくり見ていると、そんなものまで!?とだるまどんのテリトリーの広さに笑えてきます。

他人のものがうらやましく、ないものねだりをする子供らしいだるまちゃんの気持ちを汲み取り、家族総出で真剣につきあう様子や、「立派だね」と素直に認めてあげ、他人の喜びを一緒に喜べるてんぐちゃんの心にとても感心しました。

だるまちゃんの親の立場としても、てんぐちゃんの立場としても、私だったらここまでできるかなと、とても考えさせられる内容でした。

思わず、「これで我慢して!」と言ってしまいそうですが、とことん付き合ってあげることで、自分で納得できる答えを見出すことができたのは、その後のだるまちゃんにとって大きな力になっていくと思います。

てんぐちゃんの立場としても、「自分の方がすごいのに。」や「自分が先だったのに。」と思ってしまいがちですが、そうやって競い合うことで心をすり減らすより、他人の喜びを一緒に喜び、自分も幸せな気持ちを味わえることは、現代のストレス社会の中でも強く生き抜ける力なのかもしれないとさえ思いました。

価値観はそれぞれですが、自分の幸せを感じられること、それが一番大切なことだと改めて感じさせられるこの絵本。

これからも大切に読んでいきたいと思います。

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