こちらはママ友から教えてもらって知った絵本です。
子供に読み聞かせをするというより、子供目線で描いた、親へ向けてのメッセージ性が強い絵本です。
わかる人にはとてもよくわかり、ハマる人はハマる、新しいジャンルの絵本だと思います。
読み終わったあとには、子供の不可解な言動や行動が少しだけわかるヒントがもらえるかもしれません。
- りゆうがあります
- ヨシタケシンスケ 作
- 2015年 PHP研究所 発行
内容
主人公の「ぼく」。
ぼくにはハナをほじるくせがある。
お母さんに「お行儀が悪い」と怒られる。
けれど、「ちゃんとした理由があれば、ハナをほじってもいいんじゃないだろうか。」と、ぼくは一生懸命理由を考えて。。
頭の中の出来事をお母さんに伝えると、「あぁそうですか。でも・・・。」とたしなめられます。
次は爪噛みを注意されるぼく。
しかし、ある意図があることを話すと、お母さんはきっぱり返答し、「わかったよ。」とぼくは納得します。
次に指摘されたことも何とか説明すると、「色々理由があって大変ね。」と、受け流すお母さん。
それから、色々と注意されることをしちゃう理由を、ぼくは次から次に伝えます。
お母さんは、「なるほどね、よくわかったわ。」と一旦受け止めます。
「でも汚かったり、お行儀が悪いのはやめてね。」としっかり伝えます。
ぼくは、「わかったよ。」と答えます。
そして、「でも大人だってついついやっちゃうことあるでしょう?」と今度はぼくがお母さんに問いかけます。
お母さんは、しどろもどろになりながらも・・・。
感想
私はこの本のあらすじを全く知らずに読んだので、初めて読んだ時は、目が点になるほど衝撃でした。笑
我が子も1人でずーっと自分の世界に入って見えない敵と戦ったり、ストーリーを作って遊んでいたりするのですが、正直ここまでではなく、この本に対しても大人が「そうだよね、わかるわかる!」と寄り添えるような理由を勝手に想像していたので、予想外の展開に驚きでした。
我が子は何事にもですが、変化やおかしな点に割とよく気付くので、きっと現実的な方なのだと思います。
本人にもこの絵本を読んであげたのですが、全く意味がわからず「ふーん。」といった様子。
しかしそれでも、大人の理屈には当てはめられない行動や言動をとることは多々あります。
よくよく聞いてみると本人なりに色々と考えていたりするのです。
この本の良さは、お母さんの呆れ返ったあの表情にも関わらず、決して理由自体を否定しない所。
それどころか、最後の場面では、共感するように一緒の世界に入ってあげています。
本人の気持ちを否定しないで一旦受け止めてあげることは、自己肯定感を育む上でとても大切なことだと考えています。
そうした上で、汚いことやお行儀の良くないことは良くないと伝える。
私にとって、日々の子供に対する接し方も考えさせられる絵本でした。
大人には到底理解できない、子供の自由な発想に基づいたものなので、決して根拠に基づいた論理的な理由は求めずに、完全に子供の気持ち(特に男の子)になってぜひ読んでみて下さい。
「そんな発想ができるなんて!!」と感心さえしてしまいますよ。